公演中でもネタバレします。Google+ から過去ログも加筆移行中(進捗 7 割程度)。

2019-01-01から1年間の記事一覧

『アジアの女』 / 演出: 吉田鋼太郎

spice.eplus.jp あらすじ 「震災」後の避難区域で細々と暮らす竹内兄妹のもとに、かつて兄 晃郎[演:山内圭哉]を編集者と仰いでいた鳴かず飛ばずの作家 一ノ瀬[吉田鋼太郎]が訪ねてくる。一ノ瀬の来訪を機に、妹 麻希子[石原さとみ]に恋心を抱く警官の…

『今、出来る、精一杯。』 / 月刊「根本宗子」第17号

natalie.mu こんなにダークな芝居だったっけ。 前観た時 は、上映会とはいえど強烈に全知覚を塗り替えられたような衝撃に襲われて、ありがちな言葉でいえば、ロフトプラスワンを出たその時から「目の前の世界が変わっ」ていた。感動する芝居としては、他に上…

【再鑑賞】『死ンデ、イル。』 / モダンスイマーズ 句読点三部作連続上演

句読点三部作連続上演 東京芸術劇場 シアターイースト 『嗚呼いま、だから愛。』 2018-04-19 → 2018-04-29 『悲しみよ、消えないでくれ』 2018-06-07 → 2018-06-17 『死ンデ、イル。』 2018-07-20 → 2018-07-29 中央公論新社www.chuko.co.jp けっこう前です…

『裏から Good School へ』 / 演劇集団Z-Lion

www.oricon.co.jp 疑似家族とか描いちゃう割に、そういうのが必要な状況とかに陥ったバックグラウンドは全く見えてこない本を書いて演ってしまうの、なんでなんだろう。やっぱり最低でもちょっとは切り売りじゃないと、ぜんぶ上滑りするよね。 ポスト 3.11 …

【上映会】根本宗子版『墓場、女子高生』について、 岩井秀人が根掘り葉掘り聞く会

根本宗子版「墓場、女子高生」について、 岩井秀人が根掘り葉掘り聞く会 | 音楽実験室 新世界shinsekai9.jp 情報 根本宗子版『墓場、女子高生』について、 岩井秀人が根掘り葉掘り聞く会 出演 根本宗子 稽古終わりの 岩井秀人 開演 2019-11-10 20:30 於 音楽…

『no room』 / 構成: ハラサオリ

https://dancenewair2020-pre-no-room.peatix.com/?lang=jadancenewair2020-pre-no-room.peatix.com F。7 度。F。7 度。階上で鳴るビブラフォン。フェルトのまるっとした響き。あるいは不快なまでに増幅された耳を刺す倍音を含む響き。楽器として音階を持ち…

『墓場、女子高生』 / 別冊「根本宗子」第7号

engekisengen.com ◆ 西川だけじゃない。 メンコもチョロも、ジモもナカジも。みんなそれぞれに日野の自死に責任を感じていて、そのきっかけが自分の些細な言動にあったのではないかという思いが、高校という絶妙にまだ外の世界へと開放されきっていない自閉…

『組曲虐殺』 / 演出: 栗山民也

spice.eplus.jp 井上芳雄という名の世界観のようなものが存在するのではないか、という漠然とした感覚が『グレート・ギャッツビー』以降あって、それが確かなものになった。井上芳雄という世界観だこれ。そして『ギャッツビー』のときも思ったけど、やはり音…

『MUSIC SHOW 2019』 / 清竜人

skream.jp 偶然、再演の報を知り、気づいたら数週間後に迫っていたので即チケットを買って飛び込んでいた。 清竜人に関して、『MUSIC』リリース当時はその存在と『インモラリスト』程度しか認知しておらず、変な曲つくる兄ちゃんが堀江由衣に曲を提供したの…

『プレイハウス』 / パルコ・プロデュース 演出: 根本宗子

stage.parco.jp プロデュース公演での根本作品もいくつか観て分かってきたんですけど、やっぱり初期プロットの段階で WEB 等に上げるあらすじと、完成した台本(あるいは芝居そのもの)をあらすじに圧縮した場合とでは、彼女に関して(も?)だいぶ異なって…

『桜姫』 / 阿佐ヶ谷スパイダース

spice.eplus.jp 退屈がこわい安定してしまうことがこわくてしかたがない一度停滞するとそこで私の人生は完成してしまうのではないか死を以って完結する人生ならばそれまでは未完成であり続けなければ私の人生はきっと退屈で退屈でしかたのない時間が大半をし…

『アイスとけるとヤバイ 』 / 悪い芝居 vol.24

natalie.mu 地方結成の劇団だと、どこかしらのタイミングで自身のバックグラウンドに対して、劇作をもって向き合うときがくるのかな。 鹿殺しもそうだった 。役者個人にまで分解すれば、特定の劇団に限らずそれこそ殆どの人間が上京組なのだろうし、これは演…

『転校生 女子校版』 / 演出: 本広克行

https://deview.co.jp/News?am_article_id=2142131 はな[天野はな]は、ある朝目が覚めたら知らない学校の生徒になっていて、原因は分からないままにその事実だけを頼りに登校してきた。 カフカ『変身』がモチーフで、任意の課題図書を選択するその日の国語…

『ギャンブラーのための終活入門』 / 田崎小春が福岡に帰省してひとり芝居をする会

「じいちゃんの話をします」 mola-k.com スコットランドが舞台の一人芝居。 サッカーくじに興じ続けた男の 1966 年から 1999 年までの足跡を、彼からの伝聞を取り入れつつ孫の視点から述懐していくというフォーマットです。自らが余命宣告を伴う膵臓の病にお…

【再演】『チック』 / 演出: 小山ゆうな

2年ぶり待望の再演『チック』 小山ゆうなさん(翻訳・演出)&柄本時生さん&篠山輝信さんインタビュー | omoshiiomoshii.com 前 よりもグッときて、涙が出た。 キャスト続投による再演は、ある意味では咀嚼にそれだけの時間をかけることのできる期間を与え…

『美しく青く』 / 演出: 赤堀雅秋

www.excite.co.jp 津波や害獣といった「人によらない」外的要因によってしか、人(個人でも群体においても)は、生活は、変わり得ないのか。いや、変わり得ないということを赤堀は 2 時間にわたって書き続けています。何も変わらない。何も起こらない。 それ…

『ビューティフルワールド』 / モダンスイマーズ 20周年記念公演

stage.corich.jp プロットは、蓬莱プロデュースの劇団外公演も含めて、様々な過去作を髣髴とさせる。 『句読点』 の先、というよりは、記念公演らしい 20 年の総決算という感じがした(直接的には直近 5 年間くらいしか観てないけど)。大まかには 『回転す…

『化粧 2幕』 / 劇団ドラマ館

ameblo.jp 実は今(2019 年 6 月現在)、井上ひさしの遺した「こまつ座」でもやってるんですよね、これ。 ただ、( 『木の上の軍隊』 が意外と簡単に取れたというのもあって)甘く見ていたらチケット完売につき買い逃しました。そして偶然か、その裏でやって…

『ゴドーを待ちながら 昭和・平成ver.』 / KAATプロデュース 演出: 多田淳之介

www.kaat.jp 東京デスロック主宰が演出する今回の公演は、【昭和・平成(SH)ver.】と【令和(R)ver.】の W キャスト上演。SH ver. では 60 代のキャスト 2 名が、R ver. では 30 代のキャスト 2 名が、それぞれウラジミールとエストラゴンを演じ、またポゾ…

『宇宙人はクラゲが嫌い』 / 劇団かもめんたる

natalie.mu お笑いコンビの人がなぜ芝居を打つのかというと、それこそコントでは表現できないテーマだったり台詞だったり、あとは出せるキャストだったり。色々とあると思うんだけど、今回については森桃子や森田ひかり、あるいは増澤璃凛子といった「お笑い…

『木の上の軍隊』 / こまつ座

spice.eplus.jp 創作から普遍的なテーマを取り出して実体験に当てはめていき、そこから考えを展開させていくというのはおそらく、フィクションをある程度たしなむ人間にとっては当たり前の作業でしょう。では、対象とする創作そのものの帰着点が普遍的という…

『ラッキーフィッシュと浮かぶ夜』 / こわせ貯金箱

stage.corich.jp 浜辺に一頭のクジラが迷い込む、というポートレートが脚本家(演出家を兼ねている)の頭の中にあり、そこから話を組み立てていったようだ。クジラが好きなのかな?と思ったが、劇中で2回ほど船舶と衝突する。もちろんクジラは無事では済まな…

『まほろば』 / 演出: 日澤雄介

okepi.net 先入観があるのはおそらく良いとはいえないのだけれど、初演(演出:栗山民也)のワンシーンを収めたこの VTR を観たからこそ今回、本作だけは見逃したくないと思ったのは事実だし、難しいところ。 www.youtube.com そして今回の新演出のゲネプロ…

『クラッシャー女中』 / M&Oplaysプロデュース 演出: 根本宗子

なに書いても負けな気もするけど。 natalie.mu 『愛犬ポリーの死、そして家族の話』 にて“倫理”的にきわどい提示を以って「信じる」ことが描かれたとすれば、本作では「(他者を)理解する」ということはどういうことなのだろうかということを、ゆみこ[演:…

『イーハトーボの劇列車』 / こまつ座

こまつ座「イーハトーボの劇列車」 | 熊本県立劇場www.kengeki.or.jp 一頭の肉用家畜を育てる為に必要な畑の面積と、その非効率性から肉食の非合理を説いていた宮沢賢治[演:松田龍平]。彼は後年、ユートピアとしての象徴に地元の墾地をチューリップで満た…

『こそぎ落としの明け暮れ』 / ベッド&メイキングス

spice.eplus.jp 宗教団体をめぐる物語 との言及があるが、上演版においては少なくとも明確に出てくることはない。 交通事故で片足を怪我した姉[演:町田マリー]の退院日の少し前、かつて姉がしたためた「遺書」を、妹[安藤聖]は見つける。妹は、姉のその…

【再演】『母と惑星について、および自転する女たちの記録』 / パルコ・プロデュース 演出: 栗山民也

spice.eplus.jp 再演 初演も観た。 cobayahi.hatenablog.com 観劇録 どうして初演ではおぼえていなかったのだろう。シオの独白は、これから共に人生を歩んでいくことになるかもしれない相手への、手紙だったということが最後の最後に明らかにされていたのだ。…

『ピルグリム2019』 / 虚構の劇団

natalie.mu 例えば冒頭の劇中劇への観客のレスポンスに六本木が感じた過度の画一化と、それへの拒絶反応の原因。 ディストピア小説が売れるという路線に合わせようとしつつも、自らの書いたユートピアを壊すことに六本木が逡巡する理由。 ユートピアに辿り着…

『顔も、声も、』 / 演劇引力廣島 第16回プロデュース公演

stage.corich.jp 意識的に広島県を訪れたのは、おそらくこれが初めてになる。神戸ほど洒落てはおらず、大分や山口(の瀬戸内海側)よりは自意識がある。良い地方都市感。あとローソンが赤い。 そもそも去年までは蓬莱竜太がプロデュースし、脚本から演出まで…

『いつかそのアレをキメるタイム』 / シベリア少女鉄道

spice.eplus.jp ものづくりに情熱を傾けつづける町の零細企業「浅見製作所」の浅見と加藤は、かつての同僚で今は取引先の大企業「ペルセウス」のマネージャーである吉田に嵌められ、経営難に陥った。 諦めずに、今よりももっと良いヤツを作ればいいんじゃな…