『裏から Good School へ』 / 演劇集団Z-Lion
疑似家族とか描いちゃう割に、そういうのが必要な状況とかに陥ったバックグラウンドは全く見えてこない本を書いて演ってしまうの、なんでなんだろう。やっぱり最低でもちょっとは切り売りじゃないと、ぜんぶ上滑りするよね。
ポスト 3.11 にしては今さらな気もする災害の設定と、あとそれにしても 13 年前というのは何なのだろう1というのもある。
そもそも疑似家族も災害も、本筋のラジオの設定に有機的に絡まってこないどころか、伏線ですらないような開示が終盤にあるだけ。どこからどう話を組み立てるとこう組み上がるのかが見えない芝居、久しぶりに観てしまった。
折り合いって、特に死者との折り合いについては、自分が自分につけるものであって。死人は死人なんだから。口ついてないから。かといって、あの世とのボイスレターを交わしたら口がついたり折り合いがついたりは、しないでしょう。集団で視たら、聞いたら、だめなやつだよ。あの世って、悼むということって、そういうもんじゃないと思う。
あとオチ。これタイトル、裏口入学ってことでいいんですか?
ポータブルプレイヤー壊れてた時期にカーステレオで聴いてたこととか、推しの劇作家がレギュラー持ってた時期にずっと聴いてたこととかが短くないというのもあるし、あと「裏ラジオ」っていう本作の設定からも如実に嗅ぎ取れると思うんですけど、ラジオって、カウンターカルチャーとしての立ち位置が期待されているんじゃないでしょうか。でもその“反抗”ってのは裏口入学とか、そういうんじゃなくない?っていうか裏口入学は寧ろ体制に屈した結果であって。もっと、草の根コミュニティから拡げていける反抗手段としてのソーシャルメディアの、良くも悪くもな爆発力とかさ。インスタグラマー役まで出しておいて、バズの力を知らないはずはないわけだし。だって、やってるんでしょ?SNS。せっかくコミュニティラジオが主題なんだから、そっちで勝負かければいいじゃん。想像にお任せするんじゃなくて、ちゃんと殴りに行こうよ。行っちゃえよ。
露悪的かのような稽古不足2もまだかわいいもので、明らかに凡ミスと思われるコーンスナック大ぶちまけ3で場(客)がいちばん盛り上がったのも含めて、生モノの最も悪い部分、悪い受容を観てしまった。
これ以上は書けない。書くまい。嗅覚でわかってて、それでも観に行ってしまった自分も良くない。
- 脚本・演出 粟島瑞丸
- 開演 2019-11-23 14:00
- 於 新宿シアターサンモール