公演中でもネタバレします。Google+ から過去ログも加筆移行中(進捗 7 割程度)。

『MUSIC SHOW 2019』 / 清竜人

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偶然、再演の報を知り、気づいたら数週間後に迫っていたので即チケットを買って飛び込んでいた。

清竜人に関して、『MUSIC』リリース当時はその存在と『インモラリスト』程度しか認知しておらず、変な曲つくる兄ちゃんが堀江由衣に曲を提供したのだなあ程度だったのが、もういつの間にやら「りゅうじんくん」である。そこまでの経緯には、演劇趣味とその変遷も 関わっている 。更には今年末に彼が役者として新国立劇場の板を踏むのだから、本当に凄い人間とはあらゆるノードで結びつけるってわけ。

『MUSIC SHOW』は、その元となる 4th アルバム『MUSIC』をまるまるライブで再現するにあたっての、まさにショウである。劇なのだから、ここに書きます。

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聴けばわかるんだけど、MV 等が存在しない割にはあまりにも聴覚だけでは写影にすぎないような内容。全編こういったドラマ CD とでもいうような曲の群であるこの作品の、一曲一曲に対してステージ上で視覚演出を付加する、まるで生 MV のようなパフォーマンスライブ…換言して「音楽劇」が『MUSIC SHOW』というわけ。今この感覚をもっての状態で行けて良かったけど、何故 7 年たった今年に再演なのかは知らない。

なお、動きも激しいショウなので、無伴奏の寸劇パート以外は原則的にリリース音源そのまま垂れ流しの、口パク演出となっている。例えば愛先生が巴奎依であると同時に堀江由衣なのも、そのせい。


CAN YOU SPEAK JAPANESE?

ジャパンくん(清竜人)、アメリカくん、中国さん、スペインくん、フランスくん、ロシアさんの 6 人の生徒たちが、彼らの語学教師である愛先生(巴奎依)に自らの言語で愛の告白を図るのだが…。

アレンジもさることながら、寸劇の台詞から歌パートの詞に至るまでめちゃくちゃ良い。生徒アンサンブルの低音と愛先生(堀江由衣)の高音のコントラストの成立感な。

  • 竜人くん、まだ学生服にあってる。
  • 今回のアメリカくんは、学ランを着たひょうきんな黒人でありすぎる。なんだあのヒゲ。
  • 巴奎依の愛先生、若すぎる気もしたけどかわいいから良いな。台詞のタイミングはかなり堀江由衣リスペクト。

ゾウの恋

りゅうじんくんは、動物園のゾウさんです。

あゆみちゃんという 4-5 歳くらいの女の子に恋をするゾウ、の擬人として灰色のタキシードとハットを装う、キノコカットの男の子に扮した竜人くんが出てくる。女の子を抱き上げて膝の上に載せたりする。あと前歯のないような女児がいっぱい出てきて、大縄跳びとかをやる。

アルバムでは後半に位置する曲であるが、上記のようにキャスティングが児童労働にあたるので、この公演では 2 曲目に配置されたようだ。曲順のシャッフルはここだけだった、はず。

インモラリスト

銀髪の剣士のような竜人くん、さながら天野喜孝によるファイナルファンタジーのイメージイラストのよう。

  • ただ上半身と下半身の比が天野絵のそれではない。
  • 振りが雑。
  • あと背が小さい。

そんな剣士りゅうじんが、ヌンチャクを持った女(鎮西寿々歌?)と、闘う。

いろいろやばかったけど、前の方で観ていたので剣のプロップを突き立てたときに床から跳ね返ってきた「コンッ!」というお粗末な音が耳に入って死んだ。

Fall♡In♡Loveに恋してるっ♪

女の子 4 人がそれぞれに、同じ男から好きだよと言い寄られたことを開示し合い険悪な雰囲気になる。そこへ張本人、鳥の巣のようなブロンドベージュの頭をしたりゅうじんくん(中卒)がやってきて、女の子たちに抱きついたり、ツンツンしたり、≪ぴゅっぴゅっ≫したりする。

これも良い曲。MOSAIC.WAV は至高。

曲入り前の女の子たちの会話劇で明らかに台本以上の台詞を引き出すタメを張っていたように見え、「ん~もう話すことなくなってきた?」みたいなことを言いながら出てきたときに悶絶した。イケナイ男の子やね。

おどれどつきまわしたろか

女子供ほか社会的弱者に対して淀川区最強の振る舞いを見せていたチンピラ清竜人も、か弱き男の発砲した銃弾の前には無力であった…!!

アルバムのコントパートのハイライトな気がする一曲。アレンジも強い。あとやっぱり相沢舞の声って素敵だよね。

アドリブが乗りすぎて、相方の気弱な発砲男が反応に困っていた。

「的はなあ、動くで」

男女(清竜人多部未華子)の長尺デュエット曲。それに合わせて男女一組のペア(スズキ拓朗・酒井幸菜)がコンテンポラリーに舞う。

舞台装置はプレーン、小道具は一対の、赤と黒の傘のみ。

ダンサー 2 名以外は壇上に出てこず、竜人くんさえも表には出てこない一曲。

でもこれがいちばん良いパフォーマンスだと感じる人もいると思う。そのくらい素晴らしい。

終盤の独白パートで自然に竜人くんから関西訛り出てくるとこ、エモだね。

GENERATION GAP なんて言わせない!

それまで使われていなかった、ステージ上手側の隠し(?)幕がガバッと開いて、昭和の茶の間の風景が出てくる。父方および母方、両方の祖父母が出てきて、希死念慮を抱える引きこもり青年りゅうじんへ、説教をする。

りゅうじん、音楽に飽きないで!

実際そんなハゲそうな感じしないけどどうなんですかね。

りゅうじんのエッチ♡ 〜ぼくのばちあたりな妄想劇〜

えっち!へんたい!すけべ!

鼻の下伸びてんだよ!

いやその前にウルトラマンよりも光沢帯びてる銀のタイツがめちゃくちゃもっこりしてる方がやばいだろ。

T シャツ買いました。

バカ♡バカ♡バカ♡

七三分けのひ弱そうな青年、りゅうじんくんが好きなあの娘(相沢梨紗)のためにレベルアップを図り、困難、ラスボスをはね除け、最強の男となる。最強の男になると、髪型がスーパーサイヤ人みたいになって、シャツの乳首が透ける。心なしか股間も強調される。

なんと「ラスボス」役としてダンス☆マンが登壇。

髪型がコロコロ変わるやつは節操がないし、ダメ

って彼に言われたらもう反論のしようがないよな。

ダンス☆マン、本当にラスボス役としてしか出てこなくて、無駄遣い感が良かった。ちゃんとあの格好で出てきてたね。

ぼくはシンデレラ・コンプレックス

最後の曲がこれ、っていうのが凄くいい。編曲も竜人くん自身だし。もう全てが浄化されて幸せな気持ちになります。いい人みつかるといいね、りゅうじんくん!

こういうジェンダーの倒錯感というか、何かそういうのはぶっ壊しましょう、みたいな感じは大事だと思ってます。シンデレラお前なのかよ。

良すぎて手振った。