『オペラ座の怪人』 / 劇団四季
翻訳劇の鑑賞にはそんなに意義を感じられない(原典と同じ曲の上に訳詞を乗せないといけないミュージカルなら尚更)のですが、まあ年に 1 本くらいは観るか、みたいなスタンスで今年は『オペラ座の怪人』をチョイス。
オペラ座の怪人 (1986年のミュージカル) - Wikipedia
四季のような強くてデカい劇団の良いところは、舞台美術の豪奢さに尽きると思っています。小劇場ではまず見ることのできない、半端ないものが堪能できる。
本作ならば、地下湖を進むボートを演出するためのキャンドル群の動きや、仮面舞踏会での超巨大な階段、およびそこで群舞する人間とその衣裳の数々。
- 特に舞踏会関連はすごく良くて、これが生で拝めただけでも観に行って良かったと思いました。
四季の場合は同じ題目を何度も再演するロングラン形式なので、尚更こういった景気の良い美術が作りやすいのかなと。取り回しかたもこなれていて、少なくとも演出が美術に負けるというようなことは感じません。
ストーリーはある程度わりきって観ないといけません。特に大半が歌である以上、会話劇のような緻密な話の組み立て方はできないので、そういった物語性を少しでも期待したところで、得られるものは多くない。
キャスティングでは今回、ヒロイン1の歌唱がいまひとつだったような。プリマドンナ2役3がまた上手かったのもあって、ヒロインが持ち前の歌唱力で主役を勝ち取っていく、というストーリーラインの成立が危うく感じられました。
ファントム役4のひとは、切ない物悲しさを歌い上げるときの声が良かったです。席が遠かったので顔がよく見えなかったのは残念。
顔が見えないと良くないのはこれに限った話ではないですが、ファントムの場合は特に、仮面を外すシーンが彼のクライマックスなので。
- 俯瞰と選択のダイナミックレンジを拡げるためにも、やはりオペラグラスは持っておいたほうがいいんでしょうね。
開演 2016-07-16 17:30