公演中でもネタバレします。Google+ から過去ログも加筆移行中(進捗 7 割程度)。

『A.&C. ‐アダルトチルドレン‐』 / ゼロマンション

おそらく本質は、ストレートプレイの皮をかぶった 2.5 次元演劇。

ameblo.jp

雑感
  • 板の上に立つ中原麻衣を目当てに観に来たんだけど、客席に入った瞬間、どうも間違えたかなと思った。客層はほぼ 20-30 代の女性。200 席弱のキャパで、男は 2 割いればいいほう。中原目当てが果たして関係者以外に何人いたのか。

  • 碕と樋口の美しくも儚い兄弟愛。並行して描かれる精神科でのある女性[中原]のカウンセリング風景。ふたつの話が交錯したときに立ち現れる、美しき兄弟愛の裏に横たわる悲劇。いま明かされる兄の後悔、弟の思い。

    • 周囲からは、洩れ聞こえる啜り泣き。
  • ラストシークエンス。精神病棟オチとか今日びやるような脚本か?という白けた気持ちの矢先で、ホワイトボードのようにすべてが真っ白な舞台に、役者達がそれまでの要所要所で白い壁面に黒ペンをもって書き連ねてきた、8 つのキーワードの頭文字が照らし出される。

    • 「ミ」「ン」「ナ」「シ」「ア」「ワ」「セ」「ニ」。

      • ここで隣の女の子がバッグからハンカチを取り出して号泣。私は流れに取り残され、ただただ啞然としていた。
  • 良い部分もあった。

    • 目当ての中原麻衣の演技は明らかに役者陣の中で一番しっかりしていた(それによって逆に浮いていたが)。ああいった多弁ハイテンポな役をやると、舞台でも声優の強みのようなものは出るんだな。

      • その一方でカーテンコール時には関係者席を見ながら涙目だったし、後日もっともきつい芝居だったとツイッターでカミングアウトしていたので、あの速度と量は限界に近かったんだろうなとも。
    • 劇伴はギタリストによるアコギ一本の生演奏で、これもなかなか渋くて良し。

      • 下手側の最上段に座って弾いていたように憶えている。白い背景にああいう感じのおにいちゃんが座っているのは絵になる。
まとめると

くさい芝居は好きじゃない。カリカチュアである以上、どこかにくさみは出てきがちだけど、テーマが自然に成立してこない戯曲の、無理やりそこにつなぐときに出てくる齟齬の隙間から漏れ出すくささみたいなものは本当に苦手。「ミンナシアワセニ」も伏線というにはあまりにも即物的すぎる。点と点をつなげば確かに線にはなるでしょう。でも、観劇歴も 2 年目に突入すれば、さすがに面で立ち上がってこない芝居くらいはもう判るようになってんのよ。突如でてくるライトセーバーチャンバラギャグとか、場当たりの極致という感じがあり、もはや点ですらなかった。

冒頭に書いたように、本質は 2.5 次元の世界に近いはず。たぶん客席で感じたように、私がアウェイなだけだったんだろう。事前にプロジェクトの沿革くらいはちゃんと調べようと思った。

あと最低でも、狂言回しには滑舌に問題のない役者を使ってほしい。

情報
  • 脚本・演出 保木本真也

  • 開演 2015-08-15 18:00

  • 於 中野ザ・ポケット

    • 中野ザ・ポケットはキャパの割に縦長の、立体的な舞台が組めそうな感じを受けた。良いかもしれない。

      • 白が膨張色だったからという可能性もある。