公演中でもネタバレします。Google+ から過去ログも加筆移行中(進捗 7 割程度)。

『山犬』 / OFFICE SHIKA

natalie.mu

ストーリーはエロ・グロ・スプラッタ、以上のものは取り立てて思い出せないし、何かこの芝居ならではの…というようなメッセージを持って帰れたとも思えない。ただ、そこに投入された要素がコンテンポラリーダンス、AV 女優、鳥肌実というゴッタ煮状態。これで「人肉カレー」作れそう。

鳥肌実

私、舞台の芝居は15年ぶりですが日常生活では常に芝居をしておりますのでそのへんのブランクは問題無いかと思います。

じゃあないんだよ。

ということで、再演である本作の初演に鳥肌が出演している気配はない。2000 年代初頭、『トリズム』とかそのあたりの、いわゆる鳥肌実、を想像して行くと板の上に現れるその体型に驚く。ただの加齢やでは説明し難い容貌というか。普通に中年太りを引き起こして、あそこまで幼児的なかたちになるか?周りにあそこまでドラスティックに体型変化した知り合いが(まだ)いないから分からない。鳥肌に関しては元のすらっとした“イメージ”があるぶん余計に、「餓鬼」とでも形容すべきその体躯が違和感として焼き付いた。単なるオッサンとは異質な幼児性のある雰囲気が、配役と相まって舞台上でうまく引き立つ。

演技に関しては日常生活では常に芝居をされていたこともあってブランクを感じさせることはなかったかと思われます。

ISOPPコンテンポラリーダンス

鳥肌や AV 女優 森下くるみのように元の属性がメタ的に芝居に合流するのとは一線を画していたのが、この人。演出・技術面での肝である。役は野犬。芝居の語り手でもある。演劇では比較的禁忌だと思っている「スピーカーから流れる」台詞語りに対して身体表現を同期させることによって、彼だけが“人外”であることが示されていた。

『パレード旅団』 のポチのように擬人化された人外ではなく、かといって 『キャッツ』 のように獣に似せた動きもしていない。四足歩行の“けもの”であることは暗示させつつ、しかし束縛されすぎることもなく自由に演舞していた。動線には犬というより、猿みたいな側面がけっこうあったかな。

森下くるみ:AV 女優

客席後方から突っ走ってくる森下の尻をぐわしっ、と掴んだ客は仕込みだな。


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