『アラジン』 / 劇団四季
『アラジン』について
『千夜一夜物語』の『アラディンと魔法のランプ』を原案としたディズニー映画。あるいはその映画版から派生したミュージカル。ミュージカル版は日本国内において劇団四季によってロングラン上演中(汐留の四季劇場[海]にて、2018 年で 4 年目)。
映画版とミュージカル版の違い
相棒の猿が出てこない
映画版でアラジンの相棒として登場する猿のアブーは、ミュージカル版でオミットされている。
悪いオウムが出てこない
ヴィラン陣営側の動物であるオウムのイアーゴもミュージカル版にはいない。
- こちらはオウムと同名の配下として擬人化されており、ミュージカル版ではれっきとした人間。上役ジャファーの言葉を復唱する癖があり、「お前はオウムか!」と罵られるシーンが存在する。
アラジンの動機など
ミュージカル版では、亡き母に示しのつく息子でありたい、という設定が付加・強調されており、彼が泥棒まがいの生活をしている(た)ことに対する羞恥の心が、ジャスミンに対してみずからの出自を偽り続けてしまう原因になっている。
アラジンは乞食同然の生活という“束縛”からアメリカンドリーム的な“自由”を手に入れたく、一方ジャスミンは箱入り王女という“束縛”からの解放という“自由”を渇望している。この両者の動機づけ設定は、絨毯で空を飛ぶハイライト "A Whole New World" のサビの出だし部分(タイトルそのまま)が「自由さ/よ」という訳詞になっていることからも顕著である。
羽賀研二が出てこない
ディズニー映画版を見ているはずなのに羽賀研二が出てこない場合は、2008 年以降の吹替リビジョンを鑑賞している可能性が高い。
アダム・ドライバーが出てこない
- 出てくるのは SNL 版。
総評
めちゃくちゃ面白かった。開演の瞬間からの大音響2、ド派手にアレンジされた冒頭の『アラビアン・ナイト』、セクシーに立ち回るアンサンブルのお兄さまお姉さま方、そして何よりも“狂言回し”ジーニー。ジーニーは明らかに固定ファン付いてる感じ3の盛り上がりで、しかしながらファンでなくても初見から老若男女の人心を掌握できる。子どもを屈託なく笑わせ、かつ飽きさせないペースで最後まで持っていくのは、本の構成も大事ではあるけれど役者の力量がないと成立しないだろう。もちろん大人が観ても楽しかった。
ミュージカルなんて…とか今更ディズニー…とか言っている場合ではない。汐留でジーニーとアラビアの夜が、あらゆる人間を待っている。ミュージカルみたいに。
日時
- 開演 2018-08-14 18:00
- 於 電通四季劇場[海]