公演中でもネタバレします。Google+ から過去ログも加筆移行中(進捗 7 割程度)。

『女体シェイクスピア 005:暴走ジュリエット』 / 柿喰う客

柿喰う客・女体シェイクスピアシリーズ最新作は恋愛2作品を一挙上演│エンタステージenterstage.jp

『迷走クレオパトラ』と入替上演制の、翻案『ロミオとジュリエット』。

ロミオとジュリエット - Wikipedia


近い時期に 2 公演が観られるということでチケットを取ってしまっていたため、同企画での悪い演劇体験の翌日に鑑賞。

こちらは何故か『迷走…』と違ってそこまで悪いとも思わなかった。言い方は悪いけど、品の悪いパロディ劇に振り切っていることが、前日の鑑賞を経て理解できたから?

相変わらず衣装は女子高生に男子高生みたいな、そういうノリ。キャスティングは『迷走…』と同一、ただし『迷走…』で男役を演じた女優はこちらでは女役、その逆も然り。主演のジュリエット役が佃井皆美。佇まいは『迷走…』で演じたオクティヴィアス向けなんだろうけど、声質は対極の猫声なので、キャスティングとしてのメインはこちらに持ってきたっぽい。

配役のマッチング感、芝居としての出来、「ロミジュリだけだと負荷もインパクトもいまひとつだと思ったので『アントニークレオパトラ』を加えて同時に稽古・上演をした」との中屋敷インタビュー(トークだったかも)、から考えるに、ウェイトをこちらに置いていたことは明らか。『迷走…』の酷い出来は、この後乗せした負荷が演出側にも役者側にも全く良い方向に働かなかった結果だろうか。

柿喰う客からのベテラン女優 3 人の、ヌケのある演技が出来をカバーしてはいたが、その 3 人はギャグ側に全振りの状態。瑞々しく演技する客演女優たちを完全に食ってしまい、品の悪いパロディ劇に収まることとなった元凶でもあるのではないか。天丼ギャグは下らなすぎて笑ったけど。

両日ともに主役の脇をかためていた秋月三佳1がやたらぐねぐねしていて良さがあった。

『迷走…』と『暴走…』の同時上演は、手垢まみれの題材であろうとも、蔑ろに制作すると破局が起きるケーススタディのような記憶として残ってしまっている。逆の順番で観て、女体シェイクスピアの特性を把握した上で『迷走…』を観ていれば、あちらもまた違った評価になったのだろうか。ならなさそうだな。


  1. 【2018-07-15 追記】最近も、観に行った芝居にたまに出てくる。当時のメモに残っていた他の女優、例えば瀬戸さおり菊池美香、あたりは観測範囲が変わったからかなんなのか、全く見なくなった。